最近、何かと話題の衛星通信。
膨大なデータ通信は、まだ難しいものの、Wi-Fiやモバイル通信と違って、場所にとらわれず、衛星が上空に飛んでいれば、どこからでもデータ通信ができるという今までにない絶大なポテンシャルを持っています。
ロケット開発やデータ通信の高速化、それに掛かるコストなど、実現に多くの課題がありましたが、最近は、SpaceX社が開発した低軌道衛星によるブロードバンドインターネットサービス「Starlink」の登場により、一気に現地味を帯びてきました。
そんな中、2025年4月10日、auがスペースXのStarlink衛星とスマホを直接接続するサービスを開始。
2025年4月23日には楽天モバイルが、米 AST SpaceMobileの低軌道衛星と市販スマートフォン同士のエンドツーエンドによるビデオ通話に成功したと発表していて、2026年内には、AST SpaceMobileの衛星と携帯の直接通信による国内サービスを提供する計画を立てています。
徐々に熱を帯び始めている衛星通信ですが、そもそも、どういった機種で利用できるのでしょうか?
この記事では、iPhone・Androidの衛星通信についてや、現状、使えるサービスの内容・料金などを簡単にまとめています。ぜひ、参考にしてみて下さい。
iPhone・Androidで使える衛星通信とは?

スマホの衛星通信とは、スマートフォンが地上の基地局ではなく、人工衛星を通じて通信を行う技術のことです。
通常の携帯電波が届かない山岳地帯や海上、災害時にインフラが失われた場所などでも通信が可能になるので、わざわざ基地局を建てなくても、幅広い範囲を簡単にカバーすることができます。
ただし、衛星通信は他と比べて帯域幅が狭く、何百キロと距離が離れているうえ、衛星のスピードが速いので、快適なデータ通信を行うのは難しいです。
そのため、現状、各スマホメーカーや通信事業者が用意する衛星ネットサービスは、Wi-Fiやモバイル通信が届かない場所に限られ、使用用途も簡単なテキストメッセージや万が一の緊急通報といった比較的データの軽い通信に限られています。
衛星通信と聞くと、なんだか凄そうに聞こえますが、まだまだ日常的に使える段階には至っていないのが現状です。
どういった端末で使用できる?
あまり知られていませんが、実は最近のスマートフォンは、すでに衛星通信に対応しています。
iPhoneであれば、iPhone 14以降。Androidであれば、Google Pixel 9シリーズ、Samsung Galaxy S22~25シリーズなどです。
古い端末であれば無理ですが、ある程度、最新の機種であれば、そのままキャリアが販売する衛星通信サービスに申し込めます。
また、機種によっては、デモによる衛星通信を体験できるので、興味のある方は試してみると良きです。
iPhoneのデモによる衛星通信のやり方
iPhoneでは、以下の3つの項目からデモを試すことができます。
- 衛星通信接続デモ
- 探すアプリ
- 緊急SOS
料金は、iPhoneの起動から2年間だけ無料
Appleの衛星通信機能は、iPhoneのアクティベーションから2年間は無料で使用できます。
その後、料金が発生するのですが、契約している回線事業者が衛星通信も提供していれば、そちらが優先して接続されるので、ほとんど使うことはないでしょう。
Appleが用意する衛星ネットーワークには、Globalstar, Inc.とその関連会社、または他社のネットワークプロバイダが使われているようです。
そのため、対象区域でない場所もあるようで、アルメニア、ベラルーシ、中国本土、香港、マカオ、キルギスタン、カザフスタン、ロシアで購入したiPhoneは、Appleの衛星通信機能による衛星接続の提供対象外となっています。
Androidのデモによる衛星通信のやり方
お次は、Androidのデモについてです。
ここでは、Google Pixelのやり方を記載します。
日本で衛星通信サービスを使うには?

やはり、真っ先に思いつくのはSpaceX社の「Starlink」ですよね。
Starlinkには、個人向けと法人向けのプランがありますが、個人向けプランには、「レジデンシャル」と「ROAM」の2つが用意されていて、さらに、レジデンシャルには、「レジデンシャルLITE」と「レジデンシャル」。ROAMには、「ROAM – 50GB」と「ROAM無制限」というプランがあります。
- 「レジデンシャルLITE」「レジデンシャル」:自宅利用
- 「ROAM – 50GB」「ROAM無制限」:車移動やキャンプなどの屋外利用
Starlinkには、衛星通信を行う専用アンテナの他にWi-Fiルーターも付いているので、Starlinkキットだけで簡単に衛星通信ができます。さらに、モバイル通信よりも速い通信が期待できるのも特徴的です。
ただし、毎月のサブスク料金とキットを買うための初期費用がかかるので、通信費としてのランニングコストは高いです。また、空が開けた場所にアンテナを設置しないと通信品質が落ちるうえに、天気が悪ければ遮られてしまいます。
Source:https://www.starlink.com/jp/service-plans
auの衛星通信サービスは無料で利用できる!

今月から始まったauの衛星通信「au Starlink Direct」は、スペースXのStarlink衛星とスマートフォンが直接接続できる新サービスです。
気になる申し込み方法ですが、なんと不要!
au回線を使用しつつ、衛星通信ができる対象のスマホであれば、申し込みなしで利用可能です!
対象のスマホは、こちら。先ほど紹介したデバイスの他にも、いろいろ対応しています。
ただし、事前に簡単な設定をしておかなければなりません。詳細は公式サイトをご覧ください。iPhoneの設定方法はこちら。Andoridの設定方法はこちらです。
auユーザーなら無料で使えるサービスですが、衛星通信に切り替わるのは、au 5G/4G LTEのエリア外かつ空が見える屋外です。そのため、ほとんどのユーザーは、使う機会がほとんどないでしょう。
さらに、衛星通信を介して送れるのは、テキストメッセージや位置情報(現在地)の共有、緊急速報メールぐらいです。
本格的に衛星通信がしたいなら、やはりStarlinkのサブスクプランが妥当ですね。
Source:https://www.au.com/mobile/service/starlink-direct/
大容量通信が期待できる楽天の衛星通信サービス

前述したように、先日、楽天モバイルと米AST SpaceMobileによる低軌道衛星と市販スマー トフォンの直接通信試験が行われました。
この試験では、日本国内で初めてビデオ通話に成功したとのことで、今後のサービス拡充に期待ができる結果となりました。
まだ使用される周波数帯やサービス提供方法(時間、価格など)は未定だそうですが、2026年 第4四半期に提供予定とのことです。
auの衛星サービスと違って、データ通信や画像共有、音声通話もできるようになれば他社との差別化にもなって、より面白くなりそうです。
元々の、楽天モバイルのプランも、ドコモ、ソフトバンク、auというMNO回線の中で最安級の通信プランを誇るなど十分魅力的ですが、この衛星サービスを機にますます利用者が増えるかもしれませんね。

Source:https://corp.mobile.rakuten.co.jp/news/press/2025/0423_01/
まとめ:これから、もっと衛星通信サービスが増える予感
以上、日本で使えるiPhone・Androidの衛星通信についてまとめてみました。
現状、携帯キャリアで衛星通信サービスを提供しているのは、auのみ。楽天モバイルは2026年 第4四半期に提供予定で、その他のキャリアは具体的な発表をしていません。
スマホーメーカーでは各社、衛星ネットワークを用意することで、モバイル回線が繋がらない万が一の事態にでも、SOSを送れるように手配していますが、ほとんどの人は使わないでしょう。
衛星通信を普段のインターネットで利用したいのであれば、必然的にStarlinkのサブスクリプションを購入することになると思います。
多くの人が衛星通信を日常的に使うには、まだまだ時間がかかりそうですが、携帯キャリアを中心に続々と良いサービスが普及していくのではないかと思います。
メッセージから通話やネット検索、ストリーミング再生まで、あらゆるデータ通信が衛星通信で、どこからでも繋がれたら、きっと今より面白くて便利になりそうです。